豪ドル/円相場は、2月25日の97.72円をピークに、足元とでは94~95円水準まで値位置を切り下げている。1月24日以来、約1ヶ月ぶりの安値圏での取引になる。円売り圧力が一服する中、2月は95~98円をコアとしたボックス相場を形成していたが、イタリア総選挙をきっかけにリスク回避の動きが強まる中、豪ドル相場に対しても調整売りが先行している。
オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)のデベル総裁補佐は26日、「為替相場の上昇の圧力を相殺するなどの必要性が生じた場合には、我々は政策金利を一段と引き下げる余地を依然として明確に残している」との見方を示した。従来は「豪ドル高の影響に利下げで対抗できてきた」と指摘する一方、「豪ドルは幾分高い水準にある」との認識も示しており、通貨高への対応としての利下げの必要性に言及した形になる。豪中銀は、資源投資のピークアウトを相殺するために内需支援の必要性を強く認識している模様であり、早ければ3月会合で利下げが実施される可能性もあろう。もっとも、日銀総裁人事を巡る議論が本格化する中、豪利下げ見通しを背景とした豪ドル売り圧力は限定されている。対米ドルでも豪ドルの下げ幅は限定されており、足元の豪ドル安・円高は、豪ドルよりも円サイドの動向が重視されていることが窺える。
目先は、イタリア政局の先行き不透明感を消化する必要があるものの、震源地であるイタリア債市場にパニック色が乏しいことを考慮すれば、これを手掛かりに「リスク回避の円買い」が進む余地は限定されよう。警戒すべきは寧ろ米歳出強制削減の方になるが、こちらのリスクが顕在化しないのであれば、豪ドル買い・円売りはワークするとみている。
今後1週間の予想レンジは、93.25~96.50円。